ApparelX News編集部の鈴木です。
衣類をはじめとして、様々なものについているボタンですが、形や素材によって印象が異なります。
ボタンの素材は大きく分けて3つに分類されます。それぞれの特徴を素材別に紹介していきたいと思います。
目次
貝殻から作られるボタンです。
貝殻をくりぬいて厚さ別により分け、磨いてからボタン穴をあけて作ります。
メジャーなものは以下の4種類です。
高瀬貝
プラスチックボタンよりも高価ですが、貝ボタンの中では比較的安価で、最も多く使われています。
白蝶貝
同じく白系の貝ボタンというと、白蝶貝がありますが、高瀬の2~3倍高い高級品です。パールのような輝きで人気があることに加え、高瀬は大きな巻貝から作られますが、白蝶は二枚貝が原料なので採れる量が少ないという理由もあります。
黒蝶貝
グリーンがかったグレー調の色です。黒が濃いものほど良質なものとされます。
茶蝶貝
ブラウン系には茶蝶貝という2枚貝を使った貝ボタンがあります。
貝ボタンは天然素材なので同じ種類でも、二つと同じものはなく、プラスチックとは一味違った美しい輝きを持っていて、使用された服を上品に見せられる利点がありますが、衝撃に弱く割れやすいので、耐久性ではプラスチックに劣ります。
貝殻の主成分はカルシウムなどのため、基本的には染色は出来ませんが、コーティング加工をすることで染色も可能です。
タグア椰子というヤシの実から作ったボタンで、美しい木目が特徴です。
カーディガンなどのカジュアルな洋服や、雑貨にも使われます。
種の内側の象牙に似た淡いクリーム色部分を使うことから「アイボリーナット」とも呼ばれています。
アイボリー色のままで使うこともありますが、染色することによって、ナットボタンの特徴である年輪のような柄が出ます。
後染めのボタンなので、濡れたまま放置していると他の洋服に色移りしてしまう可能性があるので配色使いは避けた方が良いです。
また、椰子の実が原料なので、濡れていると水分を吸収してアクが染み出てお洋服を汚してしまったり、カビや、割れの原因にもなります。
経年で色が変化していきますが、使い込むほど味が出てくるとも言えます。
水牛の角や骨を加工して作られます。ボタンの中で一番高価で、スーツなどに使われます。
角を輪切りにしてからくり抜いて加工する製法や、中空洞の角を切り開いて圧版状にして、それをくりぬいて加工する製法があります。
水牛の種類によって色が違いますが、明るい色は数が少なく、黒よりも色が薄いものの方が貴重で高価になります。
耐久性があり、変色しにくく、風合いが変わらずに使い続けられます。
洗濯や縫製、スチームプレス等でツヤ落ちが起きることがあります。
柘植(つげ)、樺(かば)、黒檀(こくたん)、オリーブなど、材料となる木の種類はいろいろありますが、その多くは広葉樹で、固さのあるものが使用され、一枚板を削ったり手彫りして作られます。
現在、よく使われるのは薄い板を樹脂で積み重ねた合板製のもので、樺やブナ、ラワンなどを材料とした1mmくらいに加工した素材にフェノール樹脂をしみこませて、乾燥させて張り合わせて必要な厚さに成型します。
合板は耐久性も高く、ウッド素材の中では比較的安価です。木目を生かして焼き加工をして焦げ目をつけたデザインのものもあります。
合板ボタンはホルマリンを含んでおりますので、2歳以下の乳幼児の衣類には使用しないでください。
牛や馬や山羊の表皮をプレスして作られます。
皮はクローム仕上げとシブ仕上げの二種類に大きく分ける事ができますが、ボタンに使用させる材料は主にシブ仕上げで作られます。
テープ状にした革をバスケットのように編み込んだ「バスケットボタン」が特にコートなどでよく見られます。
温かみのある風合いを持った天然素材です。
石油を原料とした不飽和ポリエステル樹脂で作られます。
貝ボタンのような光沢を出せる製造技術が開発されて貝ボタンの代用品として広まりました。
シャツでよく使われます。
硬く、丈夫で、様々な形状に成型しやすいため、多種多様なボタンがあり、水牛、貝、ナットなどの素材の代用品としても使われます。
大量生産できるので均一な仕上がりで、安価で染色も可能なので、一番よく使われるボタンではないでしょうか?
石油から作られるポリアミド樹脂が原料になっています。
インジェクション成型と呼ばれる製法が一般的で樹脂原料を金型に流し込んで形を作ります。
耐薬品性、耐溶剤性ともに高く、丈夫ですが、熱にはあまり強くないので、アイロンには注意が必要です。
大量生産に向いており、比重が軽く、染色性が非常に良いのがメリットです
プラスチックに分類されていますが、カゼイン樹脂とは牛乳のタンパク質を原料とした樹脂です。
牛乳のタンパク質の内のレンネットカゼインに光沢や色柄を出すために白顔料、パール箔、水などを混ぜて熟成させます。熱と圧力を加えて練り合わせ、棒状にして固め、これをボタンの形に加工します。
素材を作る過程でホルムアルデヒドが使われているので、2歳以下のベビー服には適していませんので、注意してください。
牛乳からできているので乳白色の柔らかい光沢を持っていて、他のプラスチック製のボタンとはちょっと違う、暖かみのある風合いが特徴です。
強度に優れ、染色性も良いので、オリジナルのボタンを作るのに最適です。
さらにカゼイン樹脂は分解されて自然に還る「生分解性プラスチック」なので環境にやさしい素材でもあるのです。
ラクトボタンとも呼ばれますが、「ラクト(ラクトロイド)」はダイセル化学工業株式会社の登録商標です。
尿素とホルムアルデヒドの反応によって生成される合成樹脂です。
天然素材の水牛やナットの風合いを出す為に開発された素材で、水牛やナットの雰囲気が出るように色柄を組み、材料を板状に重ねるという独特の製法がとられます。これを長細く押し出してタブレットを作り、金型に入れて圧縮と加熱により成型を行います。
尿素樹脂は後から色を付けることができないので、原料の段階で着色してボタンに加工されます。
大量生産に向いていて、耐候性・耐衝撃性・耐薬品性・耐熱性に優れているので、ワークウェアやボトムのボタンなど様々なアイテムによく使用されます。
ホルマリンを使用するため、成型品にホルムアルデヒドを含んでいますので、2歳以下の乳幼児の衣類等には使用しないでください。
ABS樹脂はA(アクリロニトリル)、B(ブタジエン)、S(スチレン)の三成分の共重合樹脂でアクリロニトリルの耐熱性・剛性・耐油性・耐候性、ブタジエンの弾性、スチレンの光沢・電気的性質・成型性の耐衝撃性などの三つの樹脂の特徴を合わせ持った素材です。
プラスチックでありながら、金属メッキが可能です。これはナイロンやポリエステルにはない特徴です。
見た目はメタルボタンですが、プラスチックなので軽く、ニットなどの薄手の生地にも使えます。
亜鉛、真鍮などを原料としたボタンです。
制服のボタンやブレザーなどに使われています。
金属で作ったボタンというと重そうなイメージがありますが、真鍮ボタンのほとんどはカシメと呼ばれる合わせボタンのタイプで、表パーツと裏パーツの2つのパーツを組み合わせて作られることが多く、中身が空洞になっているので、金属ボタンといってもそんなに重くはないです。
真鍮よりもさらに細かなレリーフを表現する事が可能な亜鉛を使ったダイカストやラバーキャストなどの製法があります。
ダイカストとは鋳造技術の一つで、溶かした金属を金型に流し込んで成形する技術で、ダイキャストとも言われます。安価で作れるメリットがありますが、金型のコストがかかるデメリットがあります。
ラバーキャストとはゴムでできた型でで型取りする製法です。型代が安価で済みますが、金型ほどの耐久性はありません。
ボタン素材には様々な種類があり、メリット、デメリットを解説してきました。
その特性をお洋服づくりに生かしていただければと思います。
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