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富士吉田産ジャカード裏地ができるまで

APPARELX NEWS 編集部のゆーたです。

以前、甲州織裏地についての記事を書きましたが、今回は裏地の製造工程を紹介させて頂きます。

撚糸(ねんし)

撚糸はノウハウの固まり

原糸はそのままでは織物の糸として使えません。撚り(より: 糸にねじりを加えること)をかけて強度を増さなければなりません。

一見単純な工程のように思えますが、撚りの強さや向き、そして工場内の湿度や温度調整など複雑な要因と品質を高めるノウハウが詰まった非常に重要な工程になります。

かせの状態にして次の工程へ

ボビン巻き[wiki]からかせ(綛)の状態にして次の工程である染色工場へ送ります(ボビン巻きのまま出荷することもあります)。

たくさんの工程がある織物ですから、次の工程で最も作業しやすい状態にしてバトンを渡すことが非常に重要なのです。

 

染色

タテ糸を圧力釜へ

タテ糸を整経するという都合上、タテ糸とヨコ糸を分けて染色します。こちらの染色工場は従業員4名という小さな工場ですが、あくなき品質の向上により厳しい競争を勝ち抜いてきました。染色は色むらや糸の切断など品質に最も気を使わなければならない大事な工程です。

ヨコ糸はチーズ巻きへ

ヨコ糸は染色を行う為に一度チーズ巻き(現場用語で染色用ボビン巻きのこと)にして染色機へ投入します。こちらの工場は大規模な設備を有しており、一度に400ロールもの糸を染色可能です(小ロット対応も可能です)。ベテランが支える色づくり。科学とノウハウが融合しています。

染色の基本的な流れ

染色の基本的な流れは「セットアップ: 糸をチーズ巻きやかせの状態にしたり塗料を用意します」 → 「染色: 糸を実際に染めます(温度や染める時間が非常に重要な工程です)」 → 「洗浄: お湯で糸を洗います」 → 「色留: 専用の薬品を使用し色を留めます」 → 「塗油: 織りやすいように油を付けます」 → 「脱水・乾燥: 脱水し、乾燥させます(キュプラは45度程度で3~4日かけてゆっくり乾燥させます)」。染色するだけで1ロット3時間程度かかります。

 

整経(せいけい)

線から面へ

整経(せいけい)とは織物の重要な工程の内の1つで、タテ糸(経糸)を揃えて生地の状態にすることを言います(つまりヨコ糸を入れる前の状態にします)。富士吉田の甲州織では整経屋さんが数多く存在し、この重要な一工程に職人芸で打ち込んでいます。

タテ糸7,000本!

整経はなぜ重要なのでしょうか?それは7,000本にも及ぶタテ糸を整経するという気の遠くなるような作業をしなければならないという他に、張力の調整などその作業品質が生地の品質にダイレクトに影響するからです。ですので評判のいい整経工場はいつも注文で一杯です。こちらの工場では部分整経を行っており、400本程度の整経を16回などに分けて揃えていきます。

まず、かせをボビンにします

かせ(綛: 糸をたばねたもの)できた糸については整経を行うために専用のボビンに巻きなおします。膨大な数の糸を整形しますので、これらの糸巻き機はいつもフル稼働しています。

綾は命

次の製織工程にて正しくヨコ糸を通す為に、この整経時に綾を取ります。綾を取るとは隣り合った2本の糸を交差させ、織機にてタテ糸を引き出すときに糸の順番が狂わないようにすることです。この綾を取ることによりあの美しい生地が織りあがるのです。

 

製織(せいしょく)

甲州織が姿をあらわします

甲州織の主役ともいえる工程。ジャカード織機[wiki]にて丹念に織り上げられます。整経工程にて整経されたタテ糸にヨコ糸を通します。最終製品に直結しますので品質管理が重要であることはもちろんのこと、織機のメンテナンス状態が非常に重要になります。なんと1台あたり1日50メートル程度しか織ることができない貴重な生地なのです!

高速織機にはない味、品質

この織機より高速に動作する織機は数多くあります。しかし今、このような低速織機の価値が見直され始めています。高級感、立体感のある風合いはもちろんのこと、職人が常時その出来に眼を光らせ、瑕を発見し対処します。なんとヨコ糸は30cm織る度に取り替えなければならないのです!

織物のプログラム、紋紙

ジャカード裏地にはいろいろな模様、柄を入れることができます。そしてそのデザインを織機に伝えているのが織物のプログラムともいえる紋紙(パンチカード)です。電子化されてきているものもありますが、まだまだ紋紙は活躍しています。

 

整理

仕上げは整理工程

織り上がった裏地は整理工場へと送られ、最終工程である「整理」が行われます。整理とは湯通しや樹脂通し、蒸し、乾燥、熱処理などを行い、生地の柔軟性、耐久性、色合い、風合いを高めることです。また最後に包装などを行い最終出荷状態にします。

 

まとめ

様々な工程を経て裏地は完成します。

この時期はコート用等で裏地の要尺が多いので消費も激しく、在庫もすぐに無くなります。

3~4ヶ月以上余裕を持って発注していても稀に欠品する事もありますが、1反1反手間暇を惜しまずに織られる裏地です。

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