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元結<もとゆい>っていいます〜手縫いのボタンホール用の副資材〜

こんにちは。ApparelX事業部のカヤバです。

本日は、主にハンドメイドのテーラードスーツに使われる少しマニアックな副資材をご紹介いたします。

元結とは

今では、スーツの副資材として使われる事のある元結ですが、もともとは髪の毛を束ねるのに使われいていた紐(紙糸)です。

平安時代の垂髪(すいはつ)という髪型に使われているのが絵巻物に残っているそうですが、正直よくわかりませんでした、、、、

調べてみると、元結にも種類があり、和装の際に女性の髪をまとめる帯状の紙の事を絵元結や入元結と呼び、絵巻物に描かれているのもこちらの元結でした。

引用元”https://webarchives.tnm.jp/imgsearch/show/C0092534

こちらは東京国立博物館の資料ですが、非常に豪華だと思いませんか。

和紙に金箔を施し、松等のめでたい物が描かれております。

余談でしたが、今回ご紹介するのはこちらです。

現在よく見かけるところですと、力士の髪結ではないでしょうか。

引用元”https://www.asahi.com/articles/photo/AS20160910000145.html

このように髪を結う紐が洋服の副資材に使われているなんて、驚きました!


使用例

じゃあ、実際どのように使われるかといいますと、手縫いのボタンホールをかがる際に使います。

手縫いのボタンホールのかがり方は、基本的には大きく分けて次のステップだと思います。(シャツのハンドホール等、芯を用いない場合もありますが、ここでは省略いたします。)

  1. ホールの周りにほつれ止めのミシンをかける。
  2. 穴をあける。
  3. かがる際のガイドにもなる芯を用意する。
  4. 開けた穴と芯をかがっていく。

この芯として使われるのが、今回ご紹介している元結です。

芯には他にも、穴糸を開けた穴の周りに渡す方法や、穴糸を四本くらいに束ねて用いる方法等もあります。(ボタンホールを縫う際には、穴糸と呼ばれる太めのシルク糸を使う事が多いです。)

今回、穴糸を四本束ねた芯と、元結を芯として使ったものとでボタンホールをかがってみました。

左側が、穴糸を芯にしたもの、右側が元結を芯にしたもの

一生懸命自分でかがってみましたが、通常の袖のボタンホールの大きさだと、あんまり変わらない様に見えますね、、、(苦笑)

元結は、芯として少し硬さがありしっかりとしているので、直接ボタンの留め心地に関係ないフラワーホールに使われる事が多いようです。

また、ボタンホールの縫い方自体、テーラーさんそれぞれのやり方があり、テーラーさんの美意識の現れだと思うので、元結を使ったボタンホールの方が美しく優れている、という事はないのかなと思います。

何がより美しいのかという事も大事ですが、それにも増して髪を結うための物が、テーラードスーツに使われているという事に面白さを感じます。

元結は「結ぶ」ということで、水引と同じ様に縁起物とされています。

(元結を使うことで)きれいに美しく見せるという事もあると思いますが、その縁起物を副資材として洋服に使うという事が、日本のテーラー独特の「粋」の表現なのかなと思います。

まとめ

いかがだったでしょうか。

縁起物としての側面も持つ、少しマニアックな副資材、元結のご紹介でした。

日本のテーラーさんの技術には、他にも、ベントに五円硬貨を入れてヒップの落ち着きを良くしたりと、「見栄えを良くするのと同時に験を担ぐ」という面白い発想があります。

着用する側としても、この様な技術や副資材が使われていると思うと縁起がよく感じ、より長く愛用したくなるのではないでしょうか。

元結にも種類があると思いますが、ApparelXで扱っている元結は、ホールの芯に適した物ですので、安心してお求め下さい!

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