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朱子織(サテン)とは織物の三原組織の一つで、糸の交差点が少なくなるように経糸ないしは緯糸をあえて規則的にとばし、経糸または緯糸を長く浮かせた織り方の事です。
経糸を長く浮かせたものをたて朱子、緯糸を長く浮かせたものをよこ朱子といい、どちらかの糸が長く浮いているので、片方の糸だけが表に表れているように見えます。
生地は交差している点が少なければ、生地面が滑らかで、光沢感が増します。そのため平織りや綾織りの生地よりも高い光沢感が魅力です。
そのかわり表面に浮いた距離ため平織り、綾織よりも長いためひっかかりやすく糸引き等が発生しやすかったり、織りの密度が低く糸同士の摩擦が少ないため切断面からほつれやすく、また表面の滑らかさが裁断や縫製時に滑りすぎてしまうこともあり、同時に扱いにくくもあります。
まれに素材の名前と勘違いされているかたを見かけますが、朱子織の生地のことですのであしからず。
サティン、繻子、複数の呼び名がありますが同義となります。が、厳密に言うとSatinとSateenでは素材が異なります。
Satin:絹、ポリエステル、ナイロンなどのフィラメント糸で織られたサテンを差します
Sateen:フィラメント糸の代わりに紡績糸(綿などの短繊維糸、スパンともいいます)を使用したものを Satin と区別するために別表記されるようです。
日本語ではどちらもサテンと記載されますが、Sateen は綿サテンなどというように素材名をあわせて表記されているものを散見しますね。
フィラメント糸と紡績糸って?
フィラメント糸:いわゆる合成繊維と、絹が当てはまります。
合成繊維は液状の原料を口金から押し出すことで繊維状にし凝固、その長い繊維を撚り合わせて糸にします。これを溶液紡糸と呼びます。余談ですが、この口金の形状を例えばY字型にするなどして作られた「異形断面」の糸で、絹などの天然繊維を再現しようとする技術もあります。
フィラメント糸のなかでも絹は特殊で、繭を解いて取り出した1本の長い糸を複数撚り合わせて作られます。この工程を製糸と呼びます。
紡績糸:綿や羊毛などの短い繊維を撚り合わせて糸にしたもの。
その撚り合わせる工程を紡績と呼びます。ところが合成繊維でもあえて短繊維を生成し綿や羊毛のように紡績を行うこともあります。
サテン生地はその美しい光沢と滑らかな手触りから、さまざまな用途に使われます。
さらには、サテンひとつとっても様々な生地があります。
織り上げたあとに表面加工をして金属光沢を出したり逆に光沢を抑えたり、異なる収縮率を持つ複数の種類の糸を混ぜて作られた糸を使用してシボ感や独特の凹凸を持たせたり、溶剤で溶ける繊維と溶けない繊維を混ぜ合わせて撚った糸で織りエアリーな質感を作ったり、経糸と緯糸の原料を変えて複雑な光沢を表現したり、sateenは綿繊維の特性を活かして丸ごとワッシャー加工やシリコンウォッシュ加工にかけたり、くたくたになるまで何度も洗い加工をして風合いを出したり。
そこまですべて紹介しようとするとあまりに膨大ですので、今回は目付けだけに絞り、重さ別で紹介いたします。
早速一覧をドンしますね。
品番 | 品名 | g/m² | 混率 |
KKF7415-55 | 分繊サテン | 56 | ポリエステル100% |
KKF1090-58 | リキッドサテン | 81 | ポリエステル100% |
22384 | 80s サテン | 87 | コットン100% |
41117 | ポリエステルサテン | 90 | ポリエステル100% |
PS-1010 | ピカピカサテン | 98 | ポリエステル100% |
8888Z | ポリエステルサテン | 100 | ポリエステル100% |
KKF8460-58 | 75d サテン | 107 | ポリエステル100% |
11063 | 60s サテン | 115 | コットン100% |
7100K | ドレッシーサテン | 120 | ポリエステル100% |
RECO-009 | アセテートスカジャンサテン | 128 | アセテート100% |
7400 | ブリリアントサテン | 135 | ポリエステル100% |
41118 | 75Dヴィンテージサテン | 135 | ポリエステル 100% |
11103 | 40s サテン | 135 | コットン100% |
41194 | クワットサテン | 155 | ポリエステル100% |
KKF8470-W | マットサテン | 188 | ポリエステル100% |
KKF8715-58 | ヘビーサテン5枚朱手 | 206 | ポリエステル100% |
41210 | カリーヌサテン | 225 | ポリエステル100% |
KOF8545 | ヘビーシックサテン | 292 | ポリエステル100% |
サテンという定義の範囲が極めて広いこともありますが、同名の組織だけでこれほど目付けの幅が広い組織は他にありましたっけ?ツイルあたりは軽いものも重いものもありそうですが、ツイルは大概の場合にその組織ごとに別名があって、その重さの相場も決まっているような……?弊主観ですので眉唾です。
ApparelXに掲載のあるサテン生地だけでもあまりに多く、ここに挙げた品番も多くなってしまいました。
重さ別と言っても数字ではたいへんイメージしにくいかと存じますので、大まかに分類いたしましょう。
重さ(g/m²) | 重さ分類 |
50~80 | 軽量 |
80~120 | 軽量〜中肉 |
120~180 | 中肉〜厚手 |
180以上 | 厚手、インテリア向け等 |
特徴:滑らかで柔らかく、繊細なドレープ性と軽やかな光沢を備えた薄手のサテン。肌に直接触れる用途に使われる事が多く、動きに合わせて優雅に揺れるのが特長です。
用途例:ブラウス、キャミソール、ランジェリー、スカーフ、舞台衣装・ダンス衣装(軽さや動き、重なり感の表現など)、裏地
補足:透け感のあるものも多く、インナーや裏地の併用が必要な場合があります。
分繊(ぶんせん)糸というのは、成形した長繊維を分割した、さらに細い糸です。分繊原糸という分繊用の糸から割いて作られます。
そんなごく細い糸から織られたKKF7415-55は、ApparelX上で探した限りでは最も軽いサテンです。
特徴:適度なハリと柔らかさ、透けにくさ、上品な光沢感を備えた汎用性の高い厚み。日常着からフォーマル、インテリアまで幅広く対応します。
用途例:ドレス、ワンピース、スカート、小物(リボン・ボウタイなど)、クッションカバー
補足:滑らかで扱いやすく、比較的縫製もしやすい。構造とドレープの両立が可能な厚さです。
まさに中堅ポジションらしく、各メーカーから100g/m²帯は必ず1品番は見つかりました。
スカジャン向けサテンが軽めなことは意外でした。刺繍を施す都合上多少ヘビーである必要がありそうと勝手に思っていましたが、刺繍するなら生地に芯貼りをしたうえで固い不織布等のフラシ芯と重ねた状態で枠に嵌めますので、べつに生地そのものは厚くある必要はそこまでなさそうです。(実は私、某兄弟製業務用刺繍ミシンを少々かじった経験があります)
さて、このあたりから多少肉感がついてきます。
130g/m²前後は品番数も多く、様々な質感が表現されており特徴的なサテンが多いです。ここではシンプルなポリエステルサテンを取り上げておりますが、先述したような意匠をこらしたサテンをお探しの方はこのあたりの重さが妥当かと。
特徴:しっかりとしたハリと存在感のある仕上がり。構築的なシルエットや高級感を演出したい場面に適しており、装飾や重厚な衣装にも対応。
用途例:ウェディングドレス、イブニングドレス、コスチューム・舞台衣装、バッグや靴の装飾、カーテンやクッションカバーなどのインテリアアイテム
補足:裏地なしでも使用可能な厚みがあり、このあたりの重さからインテリア向け生地メーカーで取り扱われている厚さです。
特徴:非常に高密度で厚みがあり、強いハリと豊かな光沢が特長。構造的なデザインにも適し、立体的なフォルムを安定して保ちます。耐久性・遮光性にも優れ、長時間使用にも適します。
用途例:ウェディングドレス、イブニングドレス、舞台衣装、バッグ、カーテン
補足:200〜210 g/m²程度では柔らかさと構造性を兼ね備え、織りの種類(二重織り・ストレッチ有無など)で風合いが大きく変わります。300g/m²以上のものは該当する品番がほとんどなく、インテリア用途中心かと思われます。
とはいえ、どの生地をつかって何をつくるかは製作者の思うがままというものです。
生地探しのお力添えになれば幸いです。
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百貨店のド真ん中にあったお直し屋から野に放たれ資材卸に転職してきた、ミシン踏むより資材見てるのが好きなタイプの人間。首振りネオバをシャカシャカするのが趣味。