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重衣料向け生分解資材と仕様提案

オークラ商事メンズ営業の青木です。

いわゆる重衣料と言われものジャケッット&パンツ・コートにおいて最近良く聞かれる生分解(土に帰る)に対応する為にどの様な資材、仕様にすれば良いか。正解案ではないかもしれませんがお客様からの提案依頼があり各パーツ毎に検討してみたものをご紹介いたします。

ジャケット・ベスト

カラークロス

衿裏に使われるカラークロス。ウール素材ではありますがほとんどの商品にナイロンが混紡されており、「生分解に対応するか?」と言われると非対応となってしまします。

代替案としては表地共地での仕様をご提案します。

裏地・パイピングテープ

裏地に関しましてはキュプラやアセテートを使用した裏地がございます。

キュプラといえば皆様もご存知の旭化成ベンベルグ裏地でこちらはコットン由来の長繊維です。

キュプラ裏地

アセテートはパルプ(木材)由来の素材でこちらも最近注目を浴びております。

アセテート裏地

衿芯

こちらはダイニック社の綿100%タイプのものがございます。接着タイプとフラシ(のりなし)タイプとあります。

フラシタイプをおすすめします。

後述する接着芯でもお話しますが接着樹脂はナイロン系の樹脂が多く厳密に言うとこの部分は生分解性がないという問題があります。

毛芯

こちらは加工芯として使用生地の原料を確認して下さい。基本的には経糸が綿ないしウールのもので緯糸はウール・レーヨンを原料としたものをお使い下さい。

抱芯としてフェルトを付ける場合はウールフェルトと言われるものがございます。

素材的にはウール・レーヨンの混紡のものなのでこちらの使用をおすすめします。

肩パット

流通商品でタイプした商品がなかなかないのが悩みのタネですが。別注にて作成が可能です。

外側の生地と中綿に綿を使用し、縫製を生分解性の糸を使用します。

綿100%の糸ですと強度的に弱く生産工程でうまくいきません。

裄綿

裄綿で使用する材料は前述の毛芯と内容的には同様です。ただよく使われる朱子毛芯やバランス毛芯で該当する商品が意外と少ないということが今回色々リサーチした際わかりました。

接着芯(身頃・見返し・パーツ・伸び止めテープ) ※パンツのパーツ芯も同様になります

最近の接着芯は薄く風合いも柔らかいものが多いです。ただそういった芯地はポリエステル長繊維であったりナイロンであったりと合成繊維使用しているものばかりになります。

また、前述の衿芯でもお話したように接着樹脂がナイロン系(一部ポリエステルやポリエチレンもありますが重衣料ではほとんどアイロン系の樹脂です)の為、厳密に生分解対応とは言えずグレーゾーン(?)になってしまいます。

綿100%のジャケット向けの芯地もございますが・・・ちょっと硬いです。

パーツ芯などロックをかける前提で綿100%の水溶性接着樹脂を使用したものを使う方法もあります。

ポケット袋地

内ポケットなどの部分に使われる生地は多く使われてるのはT/C素材やポリエステル100%素材です。

こちらは綿100%の4号スレーキ等で代替が可能です。

少々厚くなりますがあまり薄いものですと強度の問題がありますのでご注意下さい。

ボタン

フロントと袖、内ポケットのボタンは定番なところでナットボタン

変わりダネなところでウッドボタン等はいかがでしょうか。

生分解タイプのボタンも各社出しておりますが、よく使用されるPLA(ポリ乳酸)は熱に弱いということもあり染色した際の堅牢度に問題が出やすいことも有り今のところはあまりオススメ出来ません。

パンツ

ファスナー

フロントファスナーに関しましては生分解性を持ったものはほぼないと思います。

この部分に関してはボタンフライ仕様をオススメします。

前カン

この部分は金属パーツにどうしてもなってしまいますのでファスナー同様にボタン仕様で対応します。

ボタン

ボタンはジャケット同様、ナットやウッドをオススメします。

ポケット袋地・股シック・天狗裏

パンツの袋地で使用されているスレーキは綿100%のものも数多くございますので比較的選定に悩まない部分可と思います。

マーベルト

見える部分は上記ポケット袋地で使うスレーキと同様で良いですが

裏に入っている芯がポリエステルやT/Cのものがほとんどです。この部分に関しては硬さもある程度必要ということもありシャツ芯(綿100%)のフラシ(のりなし)タイプで代用します。

インベル

Wインベルと言われる不織布の接着芯にフラシのインベル芯をたたいたものを使うのですが

不織布の接着芯地で生分解性のものは現状有りませんでした。

そこで不織布部分は諦め、水溶性のシャツ芯で代用することを検討しました。

ただし縫製する際にうまくできるかといった検証はまだしておりませんのであくまで案としての提案になります。

以上、駆け足でのご提案になりましたが縫製のプロの目から見てこの仕様で可能かの検証やこうしたら良いのではといったご意見も賜われたら幸いです。


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