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ファッション業界サスティナブル入門 ー水問題編ー

こんにちは。ApparelX事業部のカヤバです。

最近は、エコロジー、サスティナブル等、環境に配慮したファッションが注目を集めていますね。

ただ、エコとか、サスティナブルってファッション業界だと何故か偽善的に聞こえてしまう部分もあります。

今回はデータなどを参照して、現在のファッション産業の問題をまとめたいと思います。

主な環境問題

特にファッション産業に関連していると思われる環境問題を上げてみました。

排水問題

温室効果ガス

化学薬品の使用

衣料品の廃棄問題

労働環境問題

ファッションに関する環境問題を示す記事はウェブ上に多く存在しますが、調べるのが結構大変だったりします。日本語の文献が少ないんです。

今回は世界規模のデータを見つけたので、そちらから引用させていただきますが、国内のファッション産業と環境に関する統計データを探すのが大変です。環境省なのか、国土交通省なのか、はたまた経済産業省なのか、それともそれ以外の公益法人的な所なのか、各官公庁から様々の統計データが出ていますが、該当するようなピンポイントのデータを探すのは非常に難しいです。

また、ウェブ上の学術記事の上位は人文科学的なものが多く、産業の統計等に関する物はあまり出てきません。

さらに、データによって定義も違ったり、、、、。

色々と調べている途中で挫折してしまいました。

ですので、各問題に焦点を当てるべく、今回はまず水問題に関してまとめてみました。

排水問題 ーある意味一番認識しづらいー

排水って普段あまり意識する事が少ないですよね。私もそうです。

綿花の栽培や、生地の染色に携わっている方ですと、水が必要という実感をお持ちかと思いますが、一般消費者や業界内でも川中、川下で働いていている場合はあまり意識する機会は少ないように思います。

Tシャツ1枚に2700リットル

例えばT-shirt1枚分の綿花を栽培するのに約2700リットルの水が必要なケースがあるようです。※1

え、そんなに!?と正直驚きました。

一枚のTシャツを作るのに必要な綿花は約250gらしく、その綿花を育てるために必要な水量が上記の様です。

年間の総使用量は・・・

2015年の統計データによると、年間で790億立法メートルの水がファッション産業全体で、使用されています。※2

これは、オリンピックサイズのプールを約3,200万個分だそうです。

スケールがでかすぎると良くも悪くも現状をうまく認識できなくなってしまいますね。

この世界的な水の問題は、地域的な格差があるのですが、放っておくと水の需要と供給のギャップが広がり、深刻な水不足を引き起こす可能性があるようです。

今回統計等の参考にさせていただいた「Pulse-of-the-Fashion-Industry_2017」では、このままだと飲料水と綿花栽培どちらを取るか、みたいな事になりかねないと書かれていました。

綿花に関して

水の使用は、製品ができ上がるまでに様々な段階で使用されますが、上記でみたように綿花の栽培に多くの水が使用されています。

ファッション産業として綿花は、水を多く使用するという批判があるようですが、農業としてみると、優秀な作物なようです。

コットンは乾燥に非常に強く、暑く乾燥した気候を好むので、他の作物栽培に適していない世界中の乾燥地域でよく栽培されている。その上、コットン栽培に使われる水の大部分は、灌漑の水ではなく、雨水である。

http://www.cotton.or.jp/environment.htm

また、30年前と比較すると現在の綿花栽培では、品種改良と、効率的な水の使用により単位面積当たりの収穫量は大幅に増大していますが、栽培に必要な水の量は基本的に同じくらいの様です。※古い資料だったので検証の余地ありです。

綿花の生産地は、比較的乾燥地域が多いです。乾燥に強いからだと思いますが、今後、綿花の需要が増すことによって、飲み水の供給に影響を及ぼしかねないというのは、あながち言い過ぎでは無いのかも知れませんね。

マイクロプラスチック問題

水の使用という問題に関連してファッション産業ではマイクロプラスチックの問題もあります。

現在、合成繊維の布地を洗濯すると、洗濯水と共にマイクロファイバーが放出される事がわかっています。

この辺りは、使用する洗濯機や、素材の混率等で放出されるマイクロファイバーの放出量は変わりますが、フリースジャケットの一回の洗濯で、最大2gのマイクロファイバーの放出が確認されています。※3

まとめ

最後までお読みいただきありがとうございます。

参考にした研究やデータは海外のものが多く、環境問題のわかりやすい資料ってなかなかありませんよね。

このようなデータは闇雲に危機や感情を煽るのではなく、現状を認識して、今後何ができるか、何をした方が良いかを考える事が大事だと思いました。

ご興味のある方は、下記参考サイトにより詳しい内容が掲載されていますので、見てみて下さい。

※1 https://www.worldwildlife.org/stories/the-impact-of-a-cotton-t-shirt

※2 https://www.globalfashionagenda.com/wp-content/uploads/2017/05/Pulse-of-the-Fashion-Industry_2017.pdf

※3 https://pubs.acs.org/doi/abs/10.1021/acs.est.6b03045

参考サイト

http://www.cotton.or.jp/environment.htm

https://lessplasticlife.com/marineplastic/source/microplasticfiber/