メンズ・ユニフォーム担当の高橋です。
この記事では、インサイドベルトの基礎知識とカーブインベルの説明とその利点について説明をします。
合わせて東海サーモの新商品の紹介もしておりますので、この説明を読んで、カーブインベルに興味が持っていただけたらと思っています。
現在もカーブインベルを作成をして販売をしておりますが、30mmワンサイズのみになっています。新商品はサイズ展開もしております。
芯地メーカーに関しては、こちらで詳しく書いておりますので、御覧ください。
目次
インサイドベルト芯地(インベル芯)とは、ボトム衣料のウエスト部分に使用する、ハリの強く保型性に優れた芯地を指します。
伸び止めテープと同様に、元になる芯地原反を規定巾にスリットした形状が一般的ですが、現在では(主にレディース衣料分野で)使用部位のパターンに合わせ、原反から着分ずつ裁断して使用することも増えてきています。
詳しくは、オークラ商事までお問い合わせ下さいませ。
続いて、パンツのウエスト部分の一般的な構造(仕様)に関してご説明させて頂きます。
ウエスト部のパーツは、表生地のタテ地が胴回り方向となるように使います。
ウエスト身頃に対してインベル芯を接着し、見返しの代わりにマーベルト(腰裏)※を縫い合わせます。
※マーベルトとは
バイヤス取りした裏地の筒に、同じバイアス取りした中心を縫い合わせた50〜60mm巾のテープ状のもの。高級感・着用感のために使用・アパレルの個性を出すためブランドロゴを入れたり、シャツの滑り止め機能を付けたりされます。
ウエストパーツ自体はストレートですが、製品を半折して見て頂くと分かる様に、メンズであっても仕上がりはカーブになっています。また地の目を通すことでウエストの変形を抑えており、パンツ本体と合わせる際にはアイロンでクセを取って(曲げて)ベルトパーツ下端縫い代と本体縫い代を縫い合わせます。
ウエストパーツの身頃部にインベル芯を接着し、半折してパンツ本体を差し込んで縫い合わせます。
インベル芯ではなく、通常の接着芯地を全面に使用されることが多いです。
次になぜインベル芯を使用するのかに関してご説明します。
これは、どんなタイプのインベル芯を使用するかによって使用目的が少し変わってきます。
(従来)スパンタイプ(伸びの無い)の芯地でヨコ方向のハリが強い物が使用され、胴回り方向にタテ地を通し、伸びを止めます。また、ハリの強いヨコ系を人体のタテ方向に合わせることで、着用によりウエストが折れ返るのを防ぎます。
パンツのデザインとして、タイトなシルエットが多くなり、また、素材にストレッチ性のあるものが増え「着心地」が重要なテーマとなってきました。保型性の為のハリ感に加えて、ストレッチへの追従性が求められるようになってきました。
そのため、ウエストの距離が伸びて人体の動きに追従する[快適性]➕キックバックにより体にフィットする[保型性]インベル芯が求められるようになります。
では、つまる所、どのようなインベル芯を選定すれば良いのでしょうか。
この答えは、インベルに対する考え方で別れます。
それは「ストレッチ性」についてどの様に考えるかということです。
従来のインベル芯使用の目的である「伸びを止める」ことと「ストレッチ素材への追従性」は相反する機能です。
そのため、表素材にストレッチのあるもの(ヨコストレッチのone-way)を使用していても、ベルト芯の選定は2通りの考え方に分かれます。
ウエストの距離は様々な要因で変化する(立つ・座る、食事の前後、だけでなく呼吸するだけでも・・・ウエストがきつい時は大きく息を吸って吐きますね)ので、追従できる仕様にすることで着用感はグッと良くなります。締め付けないでフィットするような着用感が理想です。
「着用感」の向上は認めるが、ストレッチ性があると縫製時に伸縮が生じて、製品の上がり寸法にバラ付きが出ます。つまり品質管理の難しさがボトルネックとなります。
また着用やクリーニング後の仕上げにより、ウエストサイズが変化するトラブル(顧客苦情)の恐れもあります。
・実際に製品のウエストは伸びなくても(一般的な胴回りにタテ地取り)、ストレッチ性にあるインベル芯を使用することで胴回りに対する馴染みが良くなります。
・高いストレッチ性を優れたキックバックが実現できれば使用したいが、現在この2つの機能を満たす素材としては「ポリウレタン」が用いられます。しかしながら「ポリウレタン」は経年劣化が大きいというデメリットがあります。
どちらが良いと一概には言えませんので、メリット・デメリットをご検討していただき、製品のイメージに合わせてご使用ください。
こちらでは、インベル芯の種類を説明いたします。
伸び止めテープと同様に原反を規定巾にスリットしたもの。通常は接着タイプ。原反から裁断して使用することも。
リボン織で規定巾に織り上げたベルト芯。高い伸縮性がある。接着タイプは少ない。
メンズのスラックスで主に使用されるタイプです。ベルト巾(仮に33mm)に縫い代(仮に10mmx2) をプラスした不織布のセンター合わせで、フラシのベルト芯を縫い合わせた物。
このタイプが多く使用されるのには、以下の理由があります。
・芯据えが容易(使用法にて後述)
・不織布にハリのあるものを使用するのが一般的で、縫い代の折り返し・縫製がしやすい。
・直貼りのベルト芯に比べ、接着剤を細かくすることができ、薄手素材への対応力に優れる
レディスパンツのウエスト形状はカーブが強く、一般的には上がりの型に合わせて裁断した芯地を使用します。
この場合の地の目による不具合を解消し、より仕上がりを美しくするために開発されたのがこのカーブタイプです。
股下の浅いデザインに変化し、ウエストよりやや下で履く(ヒップハンガー)レディースのパンツは、ウエストのパターンが大きくカーブしています。このため、ストレートのインベル芯では、パターンに合わせてインベル芯をカーブさせながらの芯据え行程に大変時間がかかります。
そこで、予めカーブしたインベル芯(或いは、カーブさせやすいインベル芯)が求められ開発されました。
東海サーモ製品では、インベル芯の片方のエッジにコバミシンでいせ込みをかけることで予めカーブさせた形状の商品を作りました。
他メーカーでは、一方のエッジに熱収縮の大きな糸を用いることで、芯据え時のアイロンによってカーブさせやすくした商品もあります。
表生地のカーブ形状にインベル芯を合わせる最も単純な手法は、初めにも記述した原反から裁断して使用する方法です。
原反からウエストの形状に合わせて芯地を裁断をするとアイロンでの芯据え肯定を省き、労無く接着することができます。
では、なぜわざわざカーブタイプのインベル芯が開発されたかと言いますと一番大きな要因はインベル芯の地の目にあります。
原反からカーブ形状に裁断するとウエストのフロント部分はどうしてもバイアスになってしまいます。インベル芯は一般にタテ糸よりもヨコ糸のはりが強く、ヨコ糸のハリで人体のタテ方向に対する保型機能を発揮しています。これがバイアスになることで、保型性能が弱まり、ウエストのフロントが折れやすくなってしまいます。また、バイアスの布は引っ張った時に変形による伸びが発生し、幅が狭くなります(幅引き)
では、カーブインベル芯の場合はどうでしょうか?
カーブとはいえ、そのアール形状は一定でパターンに一致してはいません。そのため、接着前にアイロンでの芯据えが必要になります。ただし、ストレート形状のインベル芯に比べると作業は容易で合わせやすくなります。地の目に関しては、元はストレートのインベル芯を曲げて使用するだけですので、胴回り方向にはタテ地が、人体のタテ方向には常にヨコ地があたり、本来の保型性能がしっかりと発揮され、シルエットの成形に役立ちます。
※(接着)インベル芯は接着芯地の仲間ではありますが、一般に厚みがありアイロンだけでしっかりと接着することは非常に難しいので、必ず芯地用のプレス機を用いて接着します。
ウエスト身頃パーツの断ち切りにダブルテープ不織布の端を合わせ、プレス機にて接着します。腰裏(マーベルト)を縫い付け、全体をパターンに合わせ、アイロン処理でカーブさせます。最後にボトム本体をウエスト身頃と縫い合わせます。
※縫い代の返りを考慮して、上がりのベルト巾に対して2mmマイナスしたインベル芯を用います。上がり35mm⇨ベルト33mm,上がり40mm⇨ベルト38mm
ウエスト身頃部の上がり線にインベル芯の端を合わせるようにセットして、プレス機で接着します。インベル芯自体をガイドとして縫い代を折り返します。上がり線に合わせるのは難しいため、インベル芯が薄手の場合はダブルテープの時と同様に身頃の断ち切りに合わせてセットし、ベルト芯ごと折り返して縫い代にする場合もあります。
ウエスト身頃パーツに対し、背中心からフロントに向かってアイロンでインベル芯をカーブさせながら仮留めしていきます。(この作業を簡易にするために、裁断ベルト芯、カーブインベル芯が用いられます)仮留め(芯据え)した接合体をプレス機にて完全接着します。
ZE3013CB ストレッチカーブインベルとZE3013 ストレッチインベルの紹介です。これから、使用頻度が多くなると思われるサスティナブル商品です
サイズ展開はサンプル画像で確認してください。
今回は、メンズ・レディースのスーツパンツにインベル芯がメインになりました。カーブインベル、ストレッチインベル、原反からカット、それぞれの利点があります。なかなかカーブインベルは使う機会が無かった方も多いと思います。この機会に試してみたいと思って頂ければ幸いです。
ApparelXでも多種多様な芯地を取り扱っておりますので、どうぞ御覧くださいませ。
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