ApparelX NEWS 編集部の森山です。
ApparelXで絵表示はどのようにしたらいい?と試験データについてよくご質問をいただくので、今回生地試験データの染色堅牢度についてまとめてみました。
目次
堅牢という言葉は簡単に言うと丈夫さを意味ですが、生地や裏地の堅牢度というと染色された生地の色落ちや色移りなどに対する強さを表すものです。
染色された生地は洗濯、摩擦、光などによる変退色のしやすさをそれぞれに応じた試験を実施し、数値化します。
主にJIS規格などで変色しないか等を確認するための試験方法が規定されています。
堅牢度が高いほど色落ちしにくく、安心して着用や洗濯ができる生地ということになります。
試験データの染色堅牢度は下の写真の赤く囲った部分を見ます。
染色堅牢度は下の順番で1級~5級、0.5級刻みの合計9段階で判定されます。 5級が一番良く、1級が一番悪い結果となります。
5級>4-5級>4級>3-4級>3級>2-3級>2級>1-2級>1級
4-5級の表記は、4級と5級どっちなの?という感じですが、上記のように4級と5級の間になります。
基準は4級〜5級くらいあれば、衣料用として問題ございません。
堅牢度が3級の生地の場合は、「色落ち注意」「単独で洗濯」といった注意書きやデメリットタグを付けることが条件となります。
例)ポリエステル系、ウール系
例)天然繊維(綿、シルクなど)、ナイロン系
ポリエステル系の生地は比較的丈夫で、堅牢度が高くて色落ちしにくいです。
コットンなどの天然繊維は堅牢度がやや低めになっています。
ナイロン系の繊維もポリエステルと同じ合成繊維で丈夫という特徴がありますが、染色してから洗濯すると色落ちしやすく、堅牢度が低い生地となっております。
また、同じ素材でも色で堅牢度が異なる場合もあります。
色の濃いものは基本的に堅牢度数値が低く、薄色のものの方が堅牢度に優れています。
試験項目は下の図の赤く囲った部分になります。それぞれの項目(一部)について説明します。
光に対する堅牢性をみます。
衣服を外で干したり、着用を長時間日光にあたると日焼けを起こす場合があります。
アウターやトップス、ボトムス等の表に出るものは、耐光の等級が高いほうが安心できます。
水洗いに対する堅牢性をみます。
水洗いによってどれだけ変色するか、また他のものをどれだけ汚染させるかをみます。基準によっては洗濯液への液汚染を評価することもあります。
家庭での洗濯が出来るかや洗濯表示を検討する際の大事な指標です。
汗に対する堅牢性をみます。
人口汗液による処理でどれだけ変色するか、また他のものをどれだけ汚染させるかをみます。酸性・アルカリ性の両方行うのが一般的です。インナーやスポーツウェア、夏もののトップスなどは、汗の等級が高い方が色落ちなどの心配がなさそうです。
摩擦に対する堅牢性をみます。
乾燥した白布で擦る乾燥試験と、濡れた白布で擦る湿潤試験があります。
水による色落ちや移色の堅牢性をみます。
洗濯堅牢度や汗堅牢度と違うのは、洗剤も酸性・アルカリ性の人口液も使わず、通常の水でのみ検査している点です。水の中に色生地と白生地を入れて一定時間漬け込み、荷重をかけて加熱します。その後元の色生地と比べたり、一緒に入れた白生地の色の変化具合を見て、堅牢度を決定します。
ドライクリーニングに対する堅牢性をみます。
ドライクリーニングによってどれだけ変色するか、また他のものをどれだけ汚染させるかをみます。パークロロエチレン(A-1orA-2法)、石油系溶剤(B-1orB-2法)があります。
家庭洗濯の際に使う 水道水に含まれる塩素などの作用に対する堅牢性をみます。
水着などの塩素に対する項目は、また別にあります。
濡れた状態での染料の移動による汚染の程度をみます。
柄物(ボーダーやドット柄)などでよく見られる濃色と白や淡色の組み合わせ製品は、濃色が淡色部分などを汚染してしまうことがあります。
用意する試験片は無地物・柄物とで異なり、試験片を吊るした状態で希薄な洗剤の液を吸い上げて淡色部分に色が移るか確認します。
退色:変色や退色のことです。
試験後の変色程度を評価 します。
汚染:色移りのことです。
試験後、縫付けられた白布に対する汚染程度を評価します。
基本的に2種類の添付白布があり、報告書右下の備考欄に詳細が記載されます。その記載された添付白布の種類順に結果が級数表記され、最終的な合否判定は結果の悪い方で判断されます。
染色堅牢度は、衣服のトラブルを避けて、長く使い続けるためにも重要なものです。
品質表示の絵表示の表記などを決めて頂く際に少しでも参考になればと思います。
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