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現代の顔認証の先駆け!?~タキシードや燕尾服の襟を飾る拝絹地とは~

ApparelX News編集部の山佑です。

今回はタキシードや燕尾服(テールコート)の襟に使用される生地、拝絹地(はいけんじ)について書いてみようと思います。

 

そもそも拝絹地って?

拝絹(はいけん)は燕尾服やタキシード等に使われるラペルの装飾のことです。英語ではショールラペルと呼ばれますが、これは上襟とラペルのつながったもの全般を指すので注意が必要です。素材は基本的に絹を使いますが、光沢がある他の生地、例えばサテンやタフタ等を使うこともあります。

ショールカラー(別名ヘチマカラー)のタキシード画像

 

起源は不確かですが、普及時期は1840年代であると考えられています。アルバート公(イギリス女王の夫)が当時正装とされていなかったフロックコートを着こなしてパーティーに出席し、当時男性の正装であった燕尾服が夜間のみの礼装となった。そのため、灯り(街灯)が少ない当時、夜でも光沢により個人が認識できるように襟に絹地を貼り付けたのが始まりとされているのが一般的ですが、それ以前に女性のドレスの光沢に合わすために男性の襟にも絹を付けたという説もあります。

基本的にタキシードと燕尾服にのみ使われるので、昼間に着用するのはマナー違反とされます。ピークドラペルの場合、上襟はジャケットの素材と同じ物を使い、ラペル部分(下襟)のみに拝絹を用いることがほとんどですが、逆の場合もあり、両方につける場合もあります。また、ショールカラーのように襟全体に拝絹が施されているほど正式なものとされています。

 

拝絹地の産地と生産現場

江戸時代から高級絹織物の産地として有名なのが山梨県富士吉田市です。やはり、富士山から流れる良質な湧き水が、上質な織物に向いているのですね。(以前、「富士吉田産ジャカード裏地の魅力をご存知でしょうか?」のブログでも紹介させていただいておりますので、ぜひ合わせてチェックしてみてください)

拝絹地用の織機は通常の機屋で使われているレピア織機とは違い、47センチ幅専用のシャトル織機でシャトルは糸の準備段階で非常に手間がかかり、かつ、織るスピードが低速の為に現在使っている機屋は非常にすくなっているのが現状です。

通常のシルクサテンは経糸が1メートルの幅で6000本程ですが、シャトル織機で織られる拝絹地は僅か47cmの幅に経糸を13000本も使い、さらに緯糸は120デニールの糸をダブルに撚って240デニールの驚異的な太さの糸を使っています。

しかも1日の生産量はわずか約6~7メートルしか織れず驚異的な密度です。

織っている最中にも注意深く経糸や横糸を見ながら丁寧に作業を続け、常に最高の品質を作り続けているのです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ハイケンジという言葉はこの業界の方でない限り、なかなか聞かない言葉ですね。発祥が、街灯が暗いので個人を識別するために生まれた、というのが非常に面白いな、と感じた次第です。

また、昨今はタキシードも黒一色ではなく、ネイビーやチャコールグレーなど様々な生地を使用した商品もたくさん出ております。その際、生地に合わせた拝絹地だったら、より引き立つことでしょう。

アパレル資材BtoBサイトApparelXでは、そんな富士吉田の拝絹地や、シルクキュプラの交織のもの、様々なカラー、とバリエーション豊富に揃っております。また英国はVANNERSの拝絹地もラインナップされておりますので、ぜひ一度チェックしてみてください。

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