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アパレル生産管理の心得~各プロフェッショナルとの関わり方~

ApparelX News編集部のヤマヨシです。
いつも生産管理の方とコミュニケーションを取ることが多いのですが、その業務の実態を知りたいと思い、2019年7月25日に開催された

AYATORI PRESENTS〜製造トラブルゼロを目指して〜 Vol.2
「座波先生から学ぶ アパレル生産管理マスターへの道」

に参加してきました。

私と同じように業界にはいるけど、実際にアパレル生産管理がどんな仕事をしているのかを知りたい方や、また、アパレル生産管理の人も勉強になる内容でした。
今回はその内容の共有と、アパレル資材商社目線での話を書きたいと思います。長文になってしまったので、興味のあるところのみ読んでもらえればと思います。

座波先生とは

まずは講師のプロフィールを説明します。

座波(ざは)さんは、ブラジル出身で、幼少の頃に日本に移住され、服飾の専門学校卒業後、アパレル、OEM会社などで、生産管理だけでなく、営業やデザイナーなどもやられていたそうです。キャリア的には12年ほど。

現在は自身のブランドを立ち上げているそうです。

ブランドや座波先生についてはnoteに詳しく載っているので、是非見てみてください。

また、業界あるあるとしてバズった「生産管理死亡かるた」の生みの親でもあります。個人的に笑えたランキングの高いものをご紹介します。

生産死亡かるたで検索するとまとめサイトも出てくるので、気になる方は検索してみてください。



アパレル生産管理としての心構え7か条

それではセミナーの内容に触れていきたいと思います。

まずはアパレル生産管理として業務を遂行する上で必要な7つのポイントをご紹介します。



1.言葉の定義の擦り合せをする



アパレル業界では多くの関係者と協業しながら一つの製品を作ることが普通です。そのため、川上~川下まで、また社内でも多くの人と関わります。
アパレル業界特有の専門用語もバンバン飛び交うのですが、その言葉も慎重に定義の擦り合せをしないと痛い目を見てしまいます。

私の場合、入社した当時は「入荷予定」「納品予定」「出荷予定」「加工上がり予定」などの正確な納期がわからない時期がありました。今でも「加工上がり予定」はしっかりと確認しないと入荷日はわからないことが多いです。



2.言った言わないをなくす



結構アナログな世界なので、電話での指示なども多くなるときがあるので、議事録をシェアする必要までもないが、しっかりと何を話したか自分のためにメモしておく必要があります。



3.言った、書いたからと安心しない



ただ、議事録をとっておいていたとしても、相手から「いや!言ったから!!」とか、「言ってないから!!」と言われることもあるので、「言う」だけでなく、しっかりと「伝える」ことが重要になります。



4.期日を曖昧にしない



「すぐお願いします!」や「なるはやで」などを使わないようにする。また、工場さんとのやりとりで「すぐやるよ!」と言われて安心するだけでなく、しっかりと納期を確認することが大事です。



5.目的・ゴールを明確化する



一つの製品を作るために多くの職種の人と関わります。何故これがいつまでに必要なのかをしっかりと説明し、共通の意識で業務を進めるほうが、相手も動きやすいです。

私もただ「急いでね!」と言われるのと、「これ発注漏れててピンチだから助けて!」って言われた方が、頑張ってしまうことがありますね・・・



6.あくまで自責、他を疑わず自分を疑え



「言った言わない」などのミスコミュニケーションや、納期遅れ、縫製ミスなど、様々なトラブルが日常的に起こるが、人のせいにせず自分の伝え方がどうだったかをまず確認した方がいいです。最終責任者は生産管理というのが座波先生の考えです。

自責の考え方は個人的にとても好きで、私も全て自己責任だと思っていますが、この業界では日常的にトラブルが起きすぎてつい、流されてしまいがちになってしまうので、再度引き締めなくてはなりませんね。



7.それでも人間なのでミスは起こる。その時は先に謝る



慎重にコミュニケーションをとって、しっかりとやっていても、ミスは起きるもの。相手を責めてばかりでは信頼関係は気付くことが難しい。まずは自分から謝るということが非常に重要とのことです。


座波先生のプロ意識を感じる7か条ですが、これを聞くと、全てをコントロールして全方位の関係者に気持ちよく仕事もらうようにする業務だなと感じました。



アパレル生産管理というポジションについて

アパレル生産管理の仕事では、多くのプロフェッショナルと関わることになります。資材を発注する先の生地・資材商社や、社内の営業、デザイナー、そして縫製工場などです。同じアパレル業界と言っても、担っている役割は違い、幅広い知識、またはその立場への理解が必要になってきます。



生地・資材商社×アパレル生産管理



生地については、サンプルの時点では在庫があるものも、シーズンが終われば追加生産をしない生地も多数存在し、いざ本発注をする時に、在庫がないということがあります。また、生産するにしても1ヶ月以上かかるのが普通で、納期的にアウトになることが多いので、事前の在庫確認などが重要になってきます。

付属については、一手間かけた資材、ロゴ入りの別注品や、染色ボタンなどは在庫があった場合でもある程度の納期がかかることを事前に知っておく必要があります。加工モノはとくに加工屋さんが忙しいと納期はかなりずれこんでくる場合があります。

また付属においては”ファスナー問題”もあります。
引手が特殊なファスナーはもちろんのこと、金属ファスナーで白、黒、紺以外の色は基本的にはサンプル分程度しかありません。
追加生産する際には生地や他の付属はあったとしても、ファスナーだけは”必ず”追いかけの納期になります。目安として3週間程度です。
それでも間に合わない場合は近い色の長いファスナーをかき集め、うちで指定の長さまで詰め加工をすることも可能です。数に限りがあるので、納期がかかることを予めわかっていた方が良いと思います。



デザイナー×アパレル生産管理



デザイナーはクリエイティブであることが役割です。
生産管理としてはいかにデザイナーのテンションやモチベーションを下げないように出来るかが肝のようです。

例えば、生地スワッチを見ながら「これめちゃくちゃ可愛い服つくれる!」と意気込んでサンプルを作ろうとしても実はもう廃番になっていたり、在庫の少ない生地の場合があります。実際に作ったあとにテンションが上っているのに生地がないと量産は作ることができません。

そうなるとかなりテンションも下がってしまいますよね。

ポイントは
・生地の在庫
・納期デッドライン
・予算上限
です。

座波先生は、事前に生地在庫や仕入価格を調べてから、デザイナーさんに「ここから選んでね!」と言って、気持ちよく仕事をしてもらい、また、本生産の際に問題が出ないようにしていたそうです。

すごいですよね。



営業・MD×アパレル生産管理



営業・MDは売上を作る人達です。

生産管理が出来ることはその人達が生産現場の空き状況をすぐに応えられるように縫製工場さんとのコミュニケーションをとっておくことです。
予想以上に売れることもあり、追加ですぐ生産できないか?と聞かれることも多いからです。

また、納期遅れやトラブルのときは、営業・MDに対してだけでなく、その先にお客様がいるという意識で、その原因をしっかり把握することが重要です。営業さんはその先のお客様に謝罪をするとともに、納得してもらえる理由を探しているのです。

他にも、追加生産の際の生地や副資材の在庫確認など、「これは売れるな!」と思っているものは確認も座波先生はしていたそうです。



縫製工場×アパレル生産管理



縫製工場さんは縫製して製品を仕上げる役割です。

まず大前提として縫製工場は一つのブランドだけ、ひとつの会社としか仕事しているわけではありません。また、国内の縫製工場について言えば、枠の取り合いの部分も大きいです。

なので、仕様書・パターンは最終のものを”なるべく”送ったほうが良いです。
というのも、いざ、裁断しようと縫製工場さんが思った時に「ちょっとまって!修正ある!」という事件が続くと、いつの間にか縫製工場さんにとっては直前に仕様変更する会社と思われてしまいます・・・
そうなると取り掛かるのも自然と後回しされてしまいます。

また、座波先生は、職出し(仕様書や資材を工場に引き渡すこと)は、バラバラに送るわけではなく、ワンセットにして送っていたそうです。よく縫製工場にとってバラバラに資材が入荷するのはとても面倒なことと言われます。というのも毎日いろんなブランドの資材が届きます。その中から使用する資材を探さなくてはいけないからです。

うちの会社では、アパレルさんに納めるケースもありますけど、圧倒的に工場直送が多いです。座波先生のやり方と一緒で、追っかけの資材以外は基本的にはワンセットして送るよう心がけています。依頼があれば、出せるもの先出しという送り方もありますけどね。



まとめ

今回、仕事以外で生産管理という仕事について聞くことで、生産管理の人が何をやってもらえたら嬉しいかを知ることができました。また、生産管理の人が夜遅くまで仕事してるのはモヤがかかっているように詳細がわからなかったですが、なるほどという感じです。私の会社アパレル資材商社なので、これからもっと助けになれるよう動きたいですね。

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