ApparelX News編集部のヤマヨシです。
数ある中から希望の表地を選んだとしても選び方を間違えれば、製品へのクレームにつながったり、納期遅れなどが発生してしまいます。手配をする際の注意事項や選び方についてまとめてみたので、是非読んでいただければと思います。
生地の手配の注意点
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一般的に生地と言っても、実は用途ごとに取り扱っている会社が異なります。用途ごとに、堅牢度や物性などの試験データが異なります。また肌に触れるのを想定した生地とそうでない生地では、人体への安全性を担保するデータが整っているかどうかが違います。
大きく言うと、バッグ用は比較的堅牢度が低いものが多いです。また堅牢度の試験データなどがない場合もあり、使用する場合は自社でカケンなどに試験を依頼しなくてはなりません。アパレル用の生地であれば、色ごとに全色試験を取っている場合もありますが、少なくとも複数色は試験を取っているので、品質を確認することができます。
もちろんアパレル向けをバッグ用で使ってもいいですし、バッグ用の生地を洋服に使ってもいいのですが、堅牢度や摩擦などは見ておく必要があるかと思います。
用途ごとにも異なりますが、アパレル向けの生地でも素材ごとに特長が異なります。
綿は英語ではCotton(コットン)です。綿は広く出回っていて、その風合いは多くの人から好まれていますが、比較的堅牢度は低いものが多いです。特に濃色(黒)などになればなるほど、湿摩擦(湿った状態での摩擦)は低くなり、移染が起きてしまいます。
発色性の良さや、堅牢度が高く、使いやすい生地です。ただ繊維自体は吸水性などがないため、インナー利用する場合は給水速乾などの機能性生地を使う必要が出てきます。
麻は夏によく使われる素材ではありますが、基本的にネップと言われるカスが生地に入り込んでしまいます。これが麻ならではではあるのですが、知らない方にとっては不良に見えるかもしれません。不良と訴えても基本的に麻にはネップがはいるものなので、受け付けてくれない可能性が高いです。ある程度のリスクを許容した方がいいかと思います。
ニットについては、生地幅が変わる場合があります。よくニットの生地屋さんの最後の莫大小とついていることがあると思います。莫大小はメリヤスと読むのですが、意味としては「大きかったり小さなかったり」というような意味です。要はニットは縮んだり伸びたりするので、幅が150cmだとしても特定の環境下では、150cm以下であったり、150cm以上であったりすることがあります。安定させるためには必ず放反をしてから縫製に入ってもらうことが大事です。
その他の素材でも様々注意点があります。特に繊細な生地になればなるほど、洗濯に制限が出てきたり、耐光性が低くなったりします。自らのブランドの方向性と生地の価格感を合わせるのが重要だと言えます。
よく言われる話で、サンプルを作ってみて量産を3~4ヶ月後にいざ量産を進行しようとしたら在庫がない!ということはよくあります。
在庫がないという状態も実は2種類あります。
1つ目はトレンド性の高い生地でシーズンが終わったら生産をしない生地で、完全に冬用とか夏用の生地は、滞留してしまうため、シーズンを超えて在庫が切れた場合も生産しないということがあります。もちろんある程度のロットをかければ生産はしてくれると思いますが、納期もかかるため、現実的ではありません。
2つ目は定番的にいつも在庫している生地です。定番的番手のオックスやブロードなどをはじめ、その生地メーカーを代表する常に回転している生地は、在庫が切れていても既に加工に入っている場合があります。そのため納期は比較的短く済んだりしもします。
ただ、やはり洋服を作る上で定番品ばかり選んでいると、どこにでもある素材しか揃いません。サンプルの生地を選ぶ際に、在庫のことなども打ち合わせしておくと良いと思います。
あとは、在庫切れが怖いということで、キープをしたいと思うブランドさんが多いと感じますが、基本キープというのは最近あまり受けてくれるメーカーは少なくなっているように感じます。弊社の自社在庫品であれば受けたりもしますが、生地メーカーさんだと長くても2週間程度で、キープ解除が続けば信用がなくなってしまうかもしれません。あるメーカーは基本買取のキープだけ受けるなど、メーカーごとに対応が異なります。
新型コロナウイルスの影響で在庫の回転率が各社下がっているので、よりタイトな対応になってくることが見込まれます。
品質基準についてはテリトリー外ではあるものの、百貨店には百貨店の、個店には個店の、海外には海外の品質の基準があります。
品質基準とは、販売店が顧客へ販売する際に定めている品質基準のことで、堅牢度何級以上とか、寸法変化率に基準がありそれを下回る製品は取り扱わないことがあります。またヨーロッパなどでは、サスティナブルに高い意識をもった販売店もあり、サスティナブル素材を多く使用していないとだめであったり、水牛ボタンなどを動物愛護的観点でNGにするところもあると聞いています。
自社の現在の販売先と将来の販売先を見越した素材選定が必要になる場合もあるということです。
様々な切り口で注意点を書いてみました。もちろんこれは手配上で、デザイン上での選び方などもあると思いますが、予め素材ごとのデメリットを知っていれば、品質管理をする上で先手が取れると思いますので、今後も発信していきます。
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ApparelX News編集長。
レディース・カジュアルブランドのデリバリ業務を経て、現在は、アパレル資材BtoBサイトApparelXの運営をしています。自分自身が分かりにくかったことや、役に立てる情報を発信していきます。