ApparelXNews編集部のmammyです。
洋服を作る上で接着芯は表に出ることは無い資材ですが、形を整えたり、生地を補強する、など様々な役割があります。
接着芯の基礎については「見えないところから洋服を支える!~接着芯の基礎知識編~」の記事で書きましたのでぜひ一度ご覧下さい。
お洋服を影から支える接着芯ですが、その選び方を間違えると作りたかった洋服のイメージや着心地とかけ離れてしまったり、接着剤が染み出て来たりなどのトラブルの原因にもなってしまいます。
今回はそんな接着芯のトラブル事例と対応法をご紹介して行きます。
芯地~接着テスト出来ます。
接着樹脂が表生地に滲み出る状態。
原因
表素材に対して接着樹脂が大きすぎる為、表生地に樹脂が出てきてしまう。
接着条件・仕上げ条件が強すぎる。
対策
接着樹脂の形状の小さいものを選んで下さい。
適切な接着条件・仕上げ条件を選んで下さい。
極薄生地には仮接着タイプを使いましょう。
表素材の目の隙間から樹脂がキラキラと見えてしまう。
密度の甘い素材・薄地の濃色などは目立ちやすい。
原因
表生地の色の反射より接着樹脂の光の反射の方が大きいために、樹脂が光って見える。(特に表生地が濃色の場合に起こりやすいです)
対策
着色樹脂を使用した芯地を選びましょう。
表生地の薄さに合わせて樹脂の細かい接着芯地を選んで下さい。
表生地表面に樹脂粒の凹凸がハッキリ現れること。下の写真のように裏からみても樹脂のドットがはっきりと見えてしまっています。
原因
表素材に対し、樹脂のドットが大きすぎる。
特に表面がツルッとしたサテン地などに発生しやすい。
また一見すると綺麗に接着出来ているように見えてもバイアスに引っ張ると発生することもあります。
対策
表生地の薄さに合わせてフラットな素材に接着可能な樹脂粒が小さく凹凸の少ない芯地を選んで下さい。
接着した布をバイアス方向に引っ張り、アタリが出ていないかを確認して下さい。
表生地と芯地の間に細かい気泡が入っているように見える状態。
原因
接着力が弱い。接着条件が低いもしくはプレスの機種が違っている。(フラットプレス機・ローラープレス機)
ストレッチ素材の表生地に伸びない芯地を貼ってしまっている。
濡れている時と乾いた時の変化の大きい生地を伸びない芯地に貼っている。
対策
タテヨコストレッチの芯地を選びましょう。
接着条件を高めに設定して下さい。
接着芯を貼った面に波状の柄が浮き出る現象。
原因
表生地と接着芯地の基布の織り方がよく似ている場合に木目模様が発生します。(表地が平織り・裏地も平織りの組み合わせなど)
対策
光の干渉が起きなくなるまで、芯地の角度を振る。
組織・密度の違う芯地またモアレ防止の芯地を選定して下さい。
表から見た際に芯地接着の境目が目立ってしまう。
原因
接着プレスの熱による影響、アイロンなどのスチームによる影響で表地と芯地の寸法の差が発生し、境目が目立ってしまう。
対策
タテヨコストレッチの芯地を選びましょう。
生地の角が丸まってしまう。撥水、合皮などのコーティング素材に多く見られます。
ツイルなどの表素材での対角カール。
原因
表地:ナイロン×芯地:ポリエステルの組み合わせにすると発生しやすいです。
対策
表地:ナイロン×芯地:ナイロンの組み合わせで素材との馴染みが良くなり改善されます。
対角カールは芯地の目を通す、ヨコ地に振ることで解消する場合があります。
接着が弱く、表地から接着芯がはがれてしまう状態。
原因
接着不良
接着樹脂に対する温度・圧力・時間の要素が十分加わっていない。
樹脂の形状と量が、表生地の性質に合わない
対策
接着芯に適切な温度・圧力・時間を設定する。
樹脂の形状と量を表生地に合ったものを選ぶようにする。
樹脂の形状についてはスプレーシンター・パウダードット・ダブルドットがあります。
今まで例に挙げたトラブルの中でも樹脂の大きさがあっていない為にシミダシや剥離などの原因につながる恐れがあります。
表地の厚さなどによって樹脂のタイプを選ぶ必要があります。
【スプレーシンター】
かなり細かい樹脂で接着性は乏しいですがシミダシがほとんどありません。
一見すると樹脂が付いているかいないか分からない程です。
表地は極薄素材が適しています。
【パウダードット】
樹脂をドット状に付着させていて接着性は比較的に高いです。
細かい接着樹脂を乗せることが出来るので薄い表素材に多く使用されます。
【ダブルドット】
接着樹脂の下に熱で溶けない下層樹脂があり、表地側に接着樹脂が食い込みやすくなっています。
接着性が高いのが特徴です。
ドットの数は1インチ(2.5cm)間に並んでいる数をポイント(p)と呼んで表します。
淡色や薄地の表生地に芯地を接着するとき、芯地に使用される樹脂のドットが大きいと樹脂が表地を通して見えてしまう、または表地にシミ出してしまうことがあります。
そのため、表地に合ったドットの接着芯を選ぶ必要があります。
下の写真を見てみると樹脂の大きさがポイント数が大きくなるにつれて小さくなっていくことが分かります。
画像・文章参考元:日東紡インターライニング株式会社
接着芯は貼る生地に合わせて基布の厚みや素材・樹脂のタイプなど様々な種類があり、用途によって使い分けることが重要です。
また接着する際に使う機械のタイプ(ローラー型なのかフラット型なのか)や接着条件(時間・温度・圧力)によっても接着度が異なってきます。
下の写真のようにサンプル帳などにはプレス条件等が記載しておりますので、その条件に沿って接着してみて下さい。
また服の生産の前には芯地接着試験を行うことをおすすめします。
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某総合手芸材料専門店の店舗勤務を経て、オークラ商事へ入社。
現在はレディースブランドの資材のデリバリやアパレルBtoBサイトApparelXの顧客対応を中心に行っています。
日々取り扱う商品や経験などを分かりやすくご紹介すべくApparelX News執筆に励んでいます。
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